書籍の電子化 その1

去年買ったスキャナについて確か言及していなかったので、ここで一言書いておく。
誤解の可能性があるので初めに断っておくが、以下の内容は印刷物をスキャナで読み込んで電子データ化することに関するあれこれであって、電子化したデータは画像化されたもの(jpgやpdf)であること、基本的にPCの画面で閲覧することを前提とする。

スキャナ

とは言っても、普通のスキャナではない。これ。

富士通 ScanSnap S300 FI-S300

富士通 ScanSnap S300 FI-S300

富士通製のADF(原稿自動送り装置)付スキャナー。
先月モデルが一新されたらしく、最新機種ではWindowsMac両方に接続できるようになったようだ。
前の機種では「Windows向け」「Mac向け」と意味不明な分売方式になっていたのだが。

  • 特徴
    • 原稿を自動送りで爆速スキャン。とにかく速い。
    • 両面スキャン可能。
    • JPEGの他、PDFでも保存可能。
    • OCR機能搭載。ただし日本語の認識能力は今ひとつ(のはず)。
    • 読み込める用紙のサイズは最大でA4サイズ。キャリアシートなるものを使えばA3も読み取り出来なくはない。

こんな感じで、ひたすら文書を電子化するのに最適なスキャナである。紙の書類が貯まって仕方がない人は、まず持ってて損はない。

用途

私の場合は貯まって貯まってしょうがない論文や紙の書類の整理とかを目的に購入した。
が、大量の書類を非常に容易に電子化できるというその特徴を活かして、書籍を電子化しない手はない。

裁断しましょ

上記ADFスキャナはその特性上、読み込む用紙はバラバラの紙である必要があるので、通常は書籍など纏まった冊子の読み取りは出来ない。
「バラバラにしないと読めないんだったら、裁断すればいいじゃないの」というわけで裁断するわけである。
裁断の問題さえなければ、これほど書籍の電子化に向いたスキャナは無いので、何とかして裁断する手段を確立したいというのが人情である。
そんなわけで私はこういうものを購入した。

実際持っているものはこれと厳密に一致しないが、とりあえずはこういう簡易裁断機があれば結構間に合う。


また、書籍の裁断に関してはFedex Kinko'sで頼むという手も有る。5mm厚の雑誌程度だと、一冊あたり100円で背をバッサリ切ってくれる。簡易裁断機では切りづらい厚い本とかを業務用裁断機で綺麗にかつ高速で処理してくれるので非常にありがたい。


下のような業務用大型裁断機を購入する手もあるが、高い、重い、場所をとるの三重苦なので、今のところはFedex Kinko'sを利用した方が良いと判断した次第。
プラス 断裁機 PK-513L 裁断幅A4タテ 26-106

プラス 断裁機 PK-513L 裁断幅A4タテ 26-106

何を電子化するべきか

これは大きな問題である。裁断、電子化の手間は依然として存在するため、無闇矢鱈と電子化するのは意味がないし、電子化したところで読まない本を電子化しても仕方がない。
このあたり人によって大分意見が分かれると思うが、私の場合の基準はとりあえずこんな感じにした。

  1. 将来的に読み返す可能性が高い
  2. 電子化によって可読性が落ちない or むしろ向上する
  3. 経年によって内容が陳腐化しにくい
  4. 電子化によって得られるメリット>電子化の際の手間 となる場合

言うまでもなく1.は最重要である。
2.は何を媒体として電子化した書籍を読むかによるかもしれない。日本で電子ブックのマーケットが今後どうなるかの動きが今ひとつ見えてこないので、今回は判断保留とし、当面はPCのモニタで閲覧することを前提としておく。
4.も重要。電子化してしまえば占有する空間はHDDのわずか一角になってしまうのだから、実世界の空間を節約するという意味で、多少面倒かつ1〜3の基準に合わなくとも電子化した方が良いこともあり得る。「読み返す可能性は極端に低いけれど捨てない方が良いかもしれない」ものを捨てることに正当性を与えられるので重要。


以上の基準から、私の場合の電子化した方が良いものを挙げる。

  • 電子化した方が良いと思われるもの
    1. 雑誌(科学系)
    2. 漫画

通常、雑誌というものは経時による内容(情報の価値)の劣化が極端に進むため、電子化に殆ど価値はないが、1.は例外と言える。学術雑誌が大学図書館で何十年分も保管されているのが良い例と言える。が、一般人が個人でそういった雑誌を買うことはないので、ここではもう少し大衆向けの科学雑誌を対象としている。私の場合は大学時代に長年(と言っても二年分ぐらいか)買っていた化学同人の出している「化学」とかを電子化した。あるいは加入している学会から毎月送られてくる会誌など。Newtonとか日経サイエンスなんかも良いかもしれない。
2.に漫画を挙げたが、ある意味最も電子化価値が高い書籍ジャンルはこれではないかという気がしている。
PCモニタで読んでも意外と読みやすい、管理が楽、本棚を圧迫しない(ここ重要)と良いことづくめなので、自分は保有しているすべての漫画を電子化しようかとすら考えている。当然だが電子化してしまった本(デジタルデータ)の貸し借りは「ダメ、ゼッタイ」である。CDからiTunesに音楽を取り込むのと同じで、個人で楽しむのが前提。


逆は以下の通り。

  • 電子化しない方が良いと思われるもの(したくないもの)
    1. 専門書:
    2. 小説:
    3. 雑誌:

1.は分野にもよるが、専門書というものは普通は脇においてにらめっこして読むものであり、また書き込みとかもしたくなるものなので、電子化する意味は薄いと思う。
2.は、情報の流れから行くと「テキストデータ→紙に印刷→紙を画像としてスキャン」なので凄く無駄な流れになってるので心情としてやりたくない、ページ数が多いので裁断&スキャンが面倒、活字をモニタで凝視して読むのは疲れるので嫌、などなどの理由による。特に文庫本の場合は紙が薄いのでスキャンが結構大変と思われる。
3.の雑誌に関しては上に書いたので省略。


予想外に長くなったのでその2に続く。