リアル世界樹の迷宮

「さあ、これに着替えたまえ」
そう言って渡された青色のツナギに着替え、私が連れて行かれた先は公園のベンチ敷地の一角にある樹海であった。
「君は鎌を使って草刈りをしても良いし、素手で草刈りをしても良い」
私は素直に鎌を受け取ることにした。
「では、草刈りを始めたまえ!」
と言われても刈るべき草が見当たらない。ここでは青々と生い茂る樹の枝を刈ることを「草刈り」と呼ぶのだろうか。私は仕方が無く鎌を手に取り、行く手を阻む木の枝枝を薙ぎ倒しながら先へ先へと進んでゆく。
某樹海探索ゲームでは親切にも進むべきルートが予め開拓されているが、真の樹海探索とは全く通り道の無い所から樹々を薙ぎ倒しルートを作るものである。いや、これは樹海探索に限らず、人生のどの道に関しても同様のことに相違あるまい。
途中、何かトゲのあるものが手に刺さり、痛覚を刺激する。
「ああ、バラもあるから気をつけて」
そういうことは早く言ってくれ。痛い。
樹々を刈りながら奥へ奥へと進んでいくと、別の冒険者たちと遭遇した。どうやら別の入り口から私たちと同様に進んできたようだ。彼らに会うまで道を開拓し探索を続けることが今回の目的だったので、探索はここで終わることになる。
「おめでとう。君たちは一度戻って休んだあと外の道路の掃除をしてもいいし、休まずに掃除をしてもいい」
( ゚д゚ )


上の話は全くのフィクションだと思ってもいいし、思わなくてもいい。




むしろフィクションであってほしかった……。